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2025/05/04 18:01 |
心を鬼にして―大切なもののために
chipsで目次書いたのの第四章を、別ハンドルブログで書いてしまったので転載。
ヘルカイザー考察です。亮はものすげー仲間思いだと思うという話。
この一個前の記事を非公開にしたんですが、その日記の清書版ということで。
駄目だ、これだけで満足したかも知れない(爆)

ヘルカイザーになった直接原因はTURN-57のエドへの敗北ですが、亮はこの他に、1年目のTURN-32でもカミューラに敗北しています。

TURN-32 カイザーvsカミューラ 幻魔の扉発動

あらすじはこうです。
TURN-31で、クロノス先生はヴァンパイア・カミューラに敗北し、人形に魂を封じられてしまいました。
闇のデュエルの恐ろしさを目の当たりにして、クロノス先生と同じく鍵の守り人となっている亮に、弟の翔は「お兄さんはそんな危ないデュエルはしないよね?」と心配げに尋ねますが、亮は無言で微笑むだけでした。
そして、カミューラの招待を受けて、仲間たちはカミューラを倒すためカミューラの城(?)に向かいます。
対戦相手に選ばれたのは亮。
亮は迷わずその挑戦を受けます。
「お兄さんが怒ってる」と翔は感じます。
圧倒的有利な状況でデュエルを進める亮。
しかしカミューラは、切り札である「幻魔の扉」を発動し、亮の弟の翔を人質に取るというやり方で亮に敗北を迫ります。
負ければ自分の魂は封印され、勝ては翔の魂が消滅する。
亮が選んだのは、翔の魂を守るため、敗北を受け入れることでした。

この話のポイントは、まずクロノス先生を倒されたことで、亮が最初から怒っているということです。
そして、翔の危ない真似をしてほしくないという願いに対して、何も答えなかったことから、亮が既に闇のデュエルをする覚悟を決めていることが分かります。
このとき亮は間違いなく、勝つ気です。負けるつもりはありません。
しかし結果として待っていたのは、もうひとつの大切なものを盾にされ、選択を余儀なくされた敗北でした。

TURN-57 カイザーvsエド!プロリーグの戦い

この話の敗北シチュエーションを考えてみましょう。
試合そのものはプロリーグでの試合ですが、アカデミアの新入生であるエドに、卒業生である亮は、入れ違いになったことが残念だと語ります。
しかしエドは、それを真っ向から馬鹿にした態度を取り、このことに亮はどう見てもムカついています。イラッときてます。
敗北原因となったのはこの感情なわけですが、問題のひとつは、この苛立ちが、具体的には何に向けられた苛立ちなのかということです。
一見、自分を馬鹿にされたから怒ってるみたいです。
しかし、後あとの煩悶を見る限り、どうもその程度の理由ではないのではないかと私は思います。
私はこの苛立ちは、自分ではなくて、アカデミアを馬鹿にされたことへの苛立ちだったのではないかと思います。
そして亮はこの苛立ちによって、おそらくは「こいつにだけは負けられない」という感情を持ちます。それは、自分が負ければ、自分だけではなくアカデミアの名誉が汚されてしまうからです。亮はこのとき、アカデミアを背負って闘っているつもりだったのではないでしょうか。
しかし結果的に、それによって冷静さを失った亮は、エドに敗北します。

クロノス先生を倒された怒りが、危険なデュエルを受けさせ、翔を守るために敗北するしかありませんでした。
アカデミアを見下された怒りが、冷静さを失わせ、亮を敗北へと追い込みました。
亮の敗北原因は、つきつめれば、自分以外の大切な何かを侵害されたことへの怒りです。仲間思いで母校を誇りに思う人であるが故に、その感情がネックになっていたんです。
守るためには負けられないという思いが、敗北を呼んでいたんです。

このことを、亮がどれだけ頭で考えていたかは、実は分かりません。

亮はTURN-65で

「オレはエド戦以来ごまかし続けてきた。相手をリスペクトするオレのデュエル、それさえできれば、勝ち負けは関係ないと。オレは餓えている、渇いている…勝利に!」
と発言しています。このときにはまだ、「勝ちたい」という衝動しか理解していません。

TURN-83でも、

「サイバー・エンド…次なる高みに、オレと共に。―あるいは」
「鬼にならねば、見えぬ地平がある」
「純粋なる勝利を得るために」
「サイバー・エンドを、オレは超える!」

とまぁ、要は「強くなりたい」というセリフしかありません。亮のセリフ自体は、デュエルに終始しています。

しかし、TURN-148で

「ヘルカイザーとなって地獄を彷徨い」

と言っている通り、それは亮にとっても険しい道のりでした。

しかも、TURN-83で

「今でも、サイバー・エンドの心は見えています。
 だが、リスペクトはしない。知った上であえて断ち切る」

ということを言っていて、これは言いかえれば、「リスペクトデュエルもできるけれど、それは選ばない」という意味です。

リスペクトデュエルに戻るほうが、亮にとっても楽な道だったのは確かです。
そしてそれは、おそらくは誰にも否定されない道です。
それでもそれが選べない理由を、亮はちゃんと考えていたのではないか。

さっきも言った通り、亮の敗北原因は、何かを大切に思う感情から発生する「負けられない」という思いです。
これは完全に、二律背反です。
守るために勝ちたいのに、守りたいと思えば負ける。
守りたい思いが勝利を阻害する。
しかし勝利こそが、守る力のはずです。
それなら取るべきは、勝利の方ではないか?

TURN-89 ヘルカイザーvsダークネス吹雪

親友の吹雪と闘っている亮は、あんまり楽しそうではありません。
吹雪がダークネスの力に苦しんでいる様を、無表情で凝視しています。
「ここで支えたら意味がない。耐えろ、耐えるんだ!」ってアテレコしたくなります。
そして吹雪がダークネスに乗っ取られた瞬間から、なんかものすごい生き生きしてきます。
吹雪じゃないから心おきなく倒せると言わんばかりです。
一旦ダークネスが出てきた後だからこそ、亮は吹雪からダークネスを追い払えた、感情に流されないように耐えたから、吹雪をダークネスから守れた、と言うこともできそうです。
しかし、亮にとっての「ヘルカイザー」という試練は終わっていないので、吹雪からの友情を、勝利のメダルを受け取ることはできません。

しかしこれ、つまり対吹雪のときは完璧なヘルカイザーとは言い難いわけで、サブタイトルは完全に後半戦だけを意味するのかもしれませんね。この話は前半:亮vs吹雪で、後半:ヘルカイザーvsダークネス吹雪、という。

TURN-95 仁義なき闘い!亮vs翔

このときには、亮はデュエル中にほぼ完全に非情に徹することができるようになっています。
だから終始、vsダークネス吹雪時と同じくヘルカイザーモードMAXです。
このデュエルだけを見れば、亮にとって守りたいものの筆頭のはずの翔との闘いだし、翔にとっても唯一無二の兄との命懸けのデュエルで、なんでこの二人が傷つけ合わなきゃいけないんだ!という、まさに仁義なき闘い。
それでもこのデュエルを完遂しなければ亮の課題は達成されません。
「勝利をリスペクトする!」
勝利こそが守る力だから。大切なものを踏み台にしても、大切なものを本当に守るためには、勝てる力が必要だから。
そう思えば、この言葉も納得いくと私は思うのですが。

余談ですが、翔もまたこのデュエルによって自分のリスペクトデュエルを完成させます。心理的には相手を認められなくても、相手の確かな強さをリスペクトするというものです。それは、亮がエドに対してできなかったリスペクトと言うこともできます。(これは亮の性格上無理なんです、何せ潔癖なんで)
「お前こそがカイザーだ!」って冗談以外の何にも聞こえないのに、これは十代の中でカイザー=リスペクトデュエルをする人、という認識があるせいで、こうとしか言えなくなるんだと思います。

物語は佳境に入ります。

TURN-148 究極ドラゴン対決!サイバー・エンドvsレインボー・ダーク

(これでいい…オレの命と引き換えに、デュエルはヨハンの勝利で終わる…)
亮はユベルに取りつかれたヨハンを救うため、自分の勝利を放棄しようとします。
履き違えてはいけないのは、命を犠牲にしようとしたわけではないということです。そもそも尽きる予定の命だから、亮にとっては捨てるも捨てないもないんです。
しかしそんな亮に、ユベルはこう言います。

「その手は食わん。この男をボクごと殺してみろ」

それに対する亮の返答は。

「ヘルカイザーをなめるな!バトルだ!」

このときはっきりと、「ヘルカイザー」が、「守るべきものさえ打ち倒せる非情さでもって勝利を求める」存在だということが打ち出されます。
亮は確かに、何が大切なものかを理解しているのです。

そして「ヘルカイザー」を貫いた亮には、敗北が訪れました。
けれどそれは、ヨハンの命を守る敗北であり、十代の闘う意志を、生きる意志を呼びもどす、十代の命を救う敗北です。
亮にとって本当に大事なものは、デュエルの勝利ではなく、それで守れたはずの仲間のほうです。
だから亮にとっては、これこそが求めていた「純粋な勝利」だったのではないでしょうか。

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2009/06/06 17:48 | Comments(0) | 遊戯王DMGX

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